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再婚オークション



大理石の床に置かれたカウンターを間に挟み、スーツ姿の男女が二人、向かい合っている。

女が相手の黒染めしているであろう長髪に目を遣った。生え際の白が目立っている。
彼に対し、薄い書類をファイルにしまいつつ、次のように問いかけた。


「すると、登録者様が離婚された原因は、いつもの夫婦喧嘩だったのですね?」

「まあ、そんなところです・・・」


答えながら長髪の男は苦笑した。

再度、問いかける。


「それなら、またいつもの様に仲直りすることもできたのではありませんか?」

「それが、今思えば仲直りしていたとはいえなくてね。向こうが一方的に折れてくれただけだったと知り、とてもショックでした。私が40年間も愛しいと思ってきた笑顔の裏で、妻は怒りと不満を募らせていた訳ですよ」


そう言って男は、膝に押し付けていた拳を握りしめると、それをカウンターテーブルの上に振り下ろした。


「でも、人の本心なんて誰にも判らないものですよね!気付けなかった事を悔やんでも仕方ないと思うんです」

女の沈黙に促されるまま、話は続いた。

「だいたい、こうなるまで我慢した妻も悪いと思います。なぜ言いたい事を黙ってしまうのか?口答えをしたら嫌われるとでも思ったのでしょうか?私は、そんなに信用できない夫だったのでしょうか?後々、打ち明けられるほうが傷つきます。妻は私を騙していたんだ。やはり腹黒い女だった訳ですよ」

そう言い放った後、男はカウンターテーブルの上から拳を浮かせた。
女はファイルを伏せ、胸ポケットにかけてあるボールペンを抜き、最後にこう問いかけた。

「仰りたい事は以上ですか?」

「あ、はい」

「解りました。キズあり取扱い説明書なし。状態X・・・っと。はい、それでは此方にお名前とご連絡先をご記入の上、自宅でお待ち頂くかたちとなります」

そう淡々と言い、書類を差し出す。
受け取った男は、その紙面に視線を落とした。

「こんな私でも売れますかねえ・・・」

男がそう呟き、溜息を零す一方で、女は含み笑いした。

「ご安心ください。貴方の様な方は大勢おります」
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面白いです。

続き待ってます(^^♪
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